テニス肘・ゴルフ肘・野球肘とは?スポーツ肘障害の症状・セルフケア・サポーター選び方【接骨院・整骨院向けガイド2026年版】

テニス肘(外側上顆炎)・ゴルフ肘(内側上顆炎)・野球肘(内側側副靭帯損傷や微小損傷等)などの「スポーツ障害」は接骨院・整骨院でもよく来院される症状の1つです。

ですが、「施術直後は良くても、患者さまが日常やスポーツの現場に戻ると負荷が再発してしまう」という問題があり、施術以外でどうケアすべきかに悩む方も多いですよね。

スポーツ障害からの早期復帰とその後の再発予防において、院内での手技・物療での施術はもちろんですが、物理的に負担軽減をサポートする「エルボーバンド」「肘サポーター」の装着は患者さま自身でも取り組めるケアの1つです。

本記事では、それぞれの発生メカニズムの要点を改めて整理したうえで、患者さまへのセルフケアの伝え方と肘専用のサポーターをご紹介します。
明日からの院内物販やセルフケア指導をスムーズに進めるガイドとして、ぜひご活用ください。

注意点エルボーバンドおよび肘サポーターは基本的に医療機器(治療機器)ではありません。痛みや症状の「治療・完治」を目的とするものではなく、装着部位への圧迫等を通じて「日常動作における負担軽減や動作の安定をサポートすること」を目的としています。施術時の説明や患者さまへのご提案の際にご活用ください。


テニス肘(外側上顆炎)とは?症状・原因・好発する患者像

この章では、スポーツ肘障害のなかで最も来院頻度が高い「テニス肘」について解説します。

テニス肘(外側上顆炎)は、上腕骨外側上顆に付着する手関節伸筋群(主にECRL・ECRB)の付着部に炎症が生じる状態です。「テニス」という名前がついていますが、実際はテニスプレーヤー以外にも多く見られます。

主な症状

  • 肘の外側(外側上顆部)に限局した圧痛
  • 手関節の背屈や前腕の回外時に増強する疼痛
  • 物をつかむ・タオルを絞る動作での痛み
  • 進行すると安静時にも鈍い痛みが続く

発生メカニズム

繰り返しの手首背屈・前腕回内外運動によって付着部に過負荷が蓄積し、微小損傷と修復が繰り返される慢性的な状態です。血流の乏しい腱付着部では修復が遅れやすく、長期化しやすいという特徴があります。

好発する患者像

40〜50代が特に多いとされています。テニスプレーヤーはもちろん、パソコンをよく使用するデスクワーカー・料理人・大工職人・介護職員など、手首を繰り返し使う職業の方にも多く見られます。

テニス肘サポーター(エルボーバンド)の活用場面

テニス肘への対応で使用されることが多いのがエルボーバンドといわれるバンド型のサポーターです。前腕の近位部に装着することで、前腕筋群の緊張を分散させる構造になっています。スポーツ中・日常動作中の使用を想定した製品が多く、装着も簡単なので、患者さまにも紹介しやすいサポーターです。

テニス肘に対する肘サポーター・エルボーバンドの役割についてはテニス肘(外側上顆炎)のエルボーバンド・肘サポーターの役割【接骨院・整骨院・医療従事者向け】をご参照ください。


ゴルフ肘(内側上顆炎)とは?テニス肘との違いと見分け方

この章では「テニス肘と混同されやすい」という声が多い、ゴルフ肘の特徴を整理します。

ゴルフ肘(内側上顆炎)は、上腕骨内側上顆に付着する手関節屈筋群・前腕回内筋群の付着部に炎症が生じる状態です。テニス肘が「外側」なのに対し、ゴルフ肘は「内側」に痛みが出るのが最大の違いです。

比較項目 テニス肘(外側上顆炎) ゴルフ肘(内側上顆炎)
痛みの部位 肘の外側 肘の内側
主な障害筋 手関節伸筋群 手関節屈筋群・回内筋群
増強動作 手首の背屈・前腕の回外 手首の掌屈・前腕の回内
テスト法 Thomsenテスト陽性 内側上顆部への直接圧痛
好発スポーツ テニス・バドミントン等 ゴルフ・野球(投球)等

野球肘とは?成長期のリスクと投球障害の基本

この章では、テニス肘・ゴルフ肘と異なり「成長期に特有のリスクがある」野球肘について解説します。

野球肘は、主に野球の投球動作による肘関節の障害の総称で、部位によって複数の病態が含まれます。成人と成長期(小中学生)では障害部位・重症度・対応の方向性が大きく異なる点が、テニス肘・ゴルフ肘と最も異なる特徴です。

主な病態の種類

病態 部位 好発年齢 特徴
内側型(内側上顆炎・靭帯損傷) 肘内側 成人〜成長期 投球時の牽引ストレス
外側型(離断性骨軟骨炎) 肘外側(上腕骨小頭) 10〜15歳が多い 軟骨損傷・進行注意
後方型(肘頭疲労骨折等) 肘後方(肘頭) 成長期・成人 伸展ストレス

成長期の患者さまへの対応で特に意識すること

成長期の外側型(離断性骨軟骨炎)は、早期発見できれば保存的な管理で対応できる場合がありますが、進行すると手術が必要になることもあります。小中学生の患者さまの場合は、骨端線の状態も含め整形外科との連携を視野に入れた対応が求められます。

「腕が曲がらなくなってきた」「引っかかる感じがする」というケースは、外側型の進行サインである可能性があります。そういった症状が出ている場合は、速やかに画像診断ができる医療機関への紹介を検討することが重要です。


肘のスポーツ障害に共通するセルフケアの考え方

この章では、テニス肘・ゴルフ肘・野球肘に共通するセルフケアについて解説します。患者さまへの指導内容を整理する参考にしてください。

① アイシング(急性期・運動後)

炎症が強い時期・運動直後は、10〜15分程度のアイシングが基本とされています。タオルを巻いたアイスパックを患部に当て、皮膚への直接接触は避けるようにしましょう。

② ストレッチ(慢性期・日常的なケアとして)

炎症が落ち着いてきた段階では、関連筋群のストレッチが日常ケアとして有効です。

【テニス肘向け:手関節伸筋群のストレッチ】
肘を伸ばした状態で手首をてのひら側に曲げ、反対の手で軽く押す。30秒×3セットを目安に。

【ゴルフ肘向け:手関節屈筋群のストレッチ】
肘を伸ばした状態で手首を甲側に反らし、反対の手で軽く押す。テニス肘のストレッチと逆方向。

【野球肘向け:肩〜肘周辺のケア】
野球肘の場合は肘単体よりも投球フォーム全体・肩周りの柔軟性が関係することが多く、下半身や肩甲帯のストレッチを含めた全体的なアプローチが求められることが多いです。

③ 動作修正・オーバーユースの見直し

テニス肘でいえばラケットのグリップサイズ・ストリングの硬さが原因の一つになることがあります。ゴルフ肘ならスイングフォームの問題が根底にある場合も。野球肘は投球数・投球フォームの修正なしには根本的な改善が難しいケースもあります。

施術に加えて、スポーツ指導者(監督・コーチ)との連携や、フォームの見直しを提案することも時に必要になるかもしれません。


接骨院・整骨院での施術アプローチの基本的な考え方

この章では、肘のスポーツ障害の患者さまに対して接骨院で用いられる施術アプローチを整理します。一般的に以下のアプローチが組み合わせて使われます。

物理療法

超音波治療器・低周波治療器・干渉波治療器などが活用されます。特に超音波は腱付着部への深達性が高く、肘のスポーツ障害の施術補助として多くの院で用いられています。

徒手療法

前腕筋群のリリース・肘関節モビライゼーション・頸椎・胸椎への介入などがあげられます。テニス肘の場合、頸椎6番からの神経関連が疼痛に影響していることもあり、頸部の可動性も確認するアプローチが有効なケースがあります。

テーピング・サポーターの活用

テニス肘に対しては前腕のキネシオテーピングや、エルボーバンドを用いたサポートが施術後の患者さまの指導として活用されます。
テーピングは患者さまに合わせた細かい調整ができますが、巻くために知識や技能が必要になるので、施術後にテーピングを巻き、普段の練習や日常生活ではサポーターを活用するケースも多いです。


施術補助に使える肘サポーター・エルボーバンドの種類と選び方【医療用おすすめ比較】

この章では、肘サポーター・エルボーバンドの種類と選び方を解説します。

肘サポーターには大きく分けて3タイプがあります。患者さまの状態・用途・スポーツ復帰の段階に応じて選択します。

タイプ 構造・特徴 主な用途 向いている患者さま
バンド型 前腕近位部に巻くシンプルなバンド。軽量でスポーツ中も装着しやすい 部分的な圧迫による負担軽減のサポート スポーツをしている方・腕を使う仕事
スリーブ型(筒型) 肘全体を覆う筒状。保温性・圧迫性が高い 肘関節全体の保護・保温。日常動作での安定補助 慢性期・寒冷期・デスクワーカー
ラップ型 肘に巻き付けて装着する。圧迫力の調整が可能 肘の広範囲の圧迫・サポート。 急性期・靭帯損傷を伴うケース

肘の外側のトラブルの場合

前腕の最も筋腹が膨らんでいる箇所(外側上顆より2〜3cm遠位)に正確に当てる必要があるので、パッド付のバンド型(エルボーバンド)がおすすめです。パッドの硬さや形状を確認し、患者さまに合ったものを選びましょう。ズレ防止の工夫があると、的確に圧迫しながら動作中もずれにくいです。

肘の内側のトラブルの場合

パッド付のバンド型(エルボーバンド)でパッドを圧迫したい内側の部分に当てて装着することがおすすめです。パッドの硬さや形状を確認し、患者さまに合ったものを選びましょう。

肘関節の動きを過度に制限せずに安定させたい場合

スリーブ型やラップ型で適度に肘を圧迫する、もしくはパッドが柔らかめのバンド型(エルボーバンド)がおすすめです。成長期の選手には特にフィット感・サイズ感の確認が重要です。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 肘の外側を圧迫するのにおすすめの肘サポーターはありますか?

High performance エルボー・High performance プレミアムエルボー・bonbone エルボーバンドがございます。パッドの硬さや形状が違うので、患者さまに合わせてお選びください。

Q2. 子どもの野球肘にサポーターを使うことはできますか?

使用自体は可能ですが、成長期の外側型(離断性骨軟骨炎)が疑われる場合は、サポーターより先に画像診断・専門医連携を優先することを推奨します。サポーターで症状が一時的に軽減しても、骨軟骨病変の進行が見えにくくなる場合があります。

Q3. 肘の外側と内側のトラブルでサポーターを使うときは同じ製品でよいですか?

バンド型は汎用性が高いものが多いので、同じ製品でも使用できますが装着位置が異なります。外側のトラブルでは肘の外側・前腕近位部、内側のトラブルには圧迫ポイントが内側にくるよう装着します。


まとめ:肘のスポーツ障害は「正しく分類」してから対応する

この記事でお伝えしたことを振り返ります。

・テニス肘は外側上顆炎。手関節伸筋群の付着部問題で、スポーツ以外の患者さまにも多い

・ゴルフ肘は内側上顆炎。テニス肘とは痛み部位・増強動作が逆。

・野球肘は投球障害の総称。成長期の外側型(離断性骨軟骨炎)は専門医連携を視野に

・3つの障害共通のセルフケアは:アイシング(急性期)→ストレッチ(慢性期)→動作修正

・肘サポーターはバンド型・スリーブ型・ラップ型の3タイプを患者さまの状態・用途で選択

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記事について

執筆者:ダイヤ工業 メディカル部門スタッフ
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