【鍼灸師向け】お灸の種類と選び方|種類別(台座灸・間接灸・棒灸・直接灸)の使い分けガイドサムネ画像

【鍼灸師向け】お灸の種類と選び方|種類別(台座灸・間接灸・棒灸・直接灸)の使い分けガイド

お灸は、鍼灸院の施術で使用されることが多く、セルフケアとして患者さまが購入できるツールでもあります。
しかし、種類が多く、どんなお灸があるかわからない場合もあるのではないでしょうか。

本記事では、鍼灸院の方に向けて、主要なお灸の種類と使い分け、お灸がもたらす効果を詳しく解説します。


お灸の主な種類と特徴

鍼灸施術で用いられるお灸は、皮膚との間に緩衝物を挟む「間接灸」と艾(もぐさ)を直接皮膚上で燃焼させる「直接灸」の他、「棒灸」やセルフケアでも使用しやすい「火を使わないお灸」など、さまざまな種類があります。
現在、施術の現場でつかわれることが多い5つのお灸の種類
をご紹介します。

1. 台座灸(たいざきゅう)

紙製やプラスチック製の台座の上で艾を燃焼させるスタンダードなタイプです。直接皮膚に艾が触れないため、火傷のリスクを抑えつつ、台座の平面を通じて安定した熱を与えることができます。シールをはがすだけで皮膚に貼り付けて使用できるタイプが多く、扱いやすいお灸です。

特徴: 直接皮膚に艾が触れず、シールをはがすだけで使用することができる。温度変化(ソフト・レギュラー・ハード)や、無煙・無臭タイプなどバリエーションが豊富。

施術でのメリット:台座の底面が平らで広めにつくられているため、皮膚にペタッと張り付き、倒れるリスクが低い。

2. 紙管間接灸(しかんかんせつきゅう)

厚手の紙でできた筒(紙管)の中に艾を詰め、筒を通して熱を伝えるお灸です。皮膚に直接艾が触れないので、安全かつ心地よい温熱感が得られます。
紙管内の空気(筒状の煙と熱風)が直接皮膚に届く構造のため、熱源が肌に触れない安全性を保ちつつも、心地よいあたたかさが得られます。

・特徴: 直接皮膚に艾が触れない。筒の底面が糊付けされていることが多く、肌に密着。紙管の中で空気の対流が起きることで熱が届く。

・施術でのメリット: 台座灸よりも底面(接地面)が小さく、狭い隙間や小さなツボに対して使いやすい

3. 棒灸(ぼうきゅう)

艾を円柱状(紙巻きタバコのような形状)に高密度で成形したもの。火をつけた先端を経穴から数センチ離し、放射熱(輻射熱)によって局所を温める「温灸」の代表格。

特徴: 熱源を動かすことで、点ではなく「面」でのアプローチが可能。施術者が距離を微調整して温度管理を行える。

施術でのメリット: 触圧刺激に敏感な患者さまや、皮膚の薄い患者さまにもアプローチできる。

4. 火を使わないお灸(温灸シール・温灸パッド)

近年、セルフケア市場において支持を得ているタイプです。和紙やシールの中に発熱体(鉄粉、水分、活性炭など)を封入し、酸素に触れることで平均約40〜45℃前後の快適な温熱を数時間にわたり持続させます。

・特徴: 火を使わないため煙や灰が出ず、衣類を着たままでも使用可能。ニオイを気にする必要がない。

・施術でのメリット: 施術後の患者さまに対し、自宅や職場での温熱持続方法として提案しやすい。お灸の煙や火が怖いと感じる方へのアプローチにも使用できる。

5.直接灸(ちょくせつきゅう)

艾(もぐさ)を手で小さく(糸状、米粒大、半米粒大など)ひねり、皮膚の上に直接置いて点火する、お灸の原点ともいえる伝統的な手法です。

・特徴: 皮膚に直接艾を置くため、燃え尽きる直前、または一瞬皮膚に熱が通る絶妙なタイミングでの消火・除去(有痕灸・無痕灸などの技法)が必要。使用には技術が必要なため、鍼灸師が施術で使用する。

・施術でのメリット: 強い刺激が必要とされる場合など、ピンポイントでの鋭い刺激のアプローチをすることができる。ダイレクトな温熱刺激および、艾の成分(チネオールなど)による化学的刺激を与えることができる。

お灸の主な種類の比較表

お灸の種類 温熱の伝わり方・構造 特徴
台座灸 台座の平面(底面)を通じて、
じんわりと輻射熱を伝える構造。
・シールタイプなど扱いやすい
・バリエーションが豊富
紙管間接灸 紙管(筒)の中の空気が煙と熱風
の対流を起こし、肌に届く構造。
・糊つきタイプもあり操作性がよい
・狭い隙間にも使用しやすい
棒灸 火をつけた先端を皮膚から離し、放射熱(輻射熱)を面で当てる構造 ・広い範囲の施術に適している
・触圧刺激に敏感な患者さまに使用できる
火を使わないお灸 発熱体の化学反応を利用し、数時間にわたり一定の温熱を肌へ持続的に届ける構造。 ・煙やニオイを気にせず使用できる
・デスクワーク中や移動時などセルフケアにも使いやすい
直接灸 手でひねった極小の艾を直接皮膚
に置いて点火する原始的な構造。
・ダイレクトに鋭い熱を届ける
・使用には技術が必要

施術で説明すべき「お灸の効果」とメカニズム

患者さまにお灸をおすすめする際、「お灸の効果」を医学的・生理学的な観点からわかりやすく説明できると、患者さまの納得度とモチベーションは一気に高まります。

【1】リラックス効果

お灸の心地よい温かさは、副交感神経を優しく優位にしてくれる効果が期待できます。また、お灸の原料である「もぐさ(よもぎの葉)」に含まれるシネオールという成分には、アロマセラピーのようなリラックス効果(鎮静作用)があり、ストレス、不眠、イライラなどの抑制の助けにもなるといわれています。

【2】血行にアプローチすることによる冷え対策

温熱刺激によって血管が広がり、血液の巡りが良くなります。これにより、手足の冷えが和らぐ効果が期待できます。
特に女性は、男性に比べ筋肉量が少ないため、手足の冷えを感じることが多いといわれています。冬の寒さ対策に加え、夏の冷房による冷え対策にも活用できます。
内臓を温めるため、月経痛(生理痛)や月経不順(生理不順)など女性特有の悩みに対する施術で使用されることもあります。

【3】長引く痛みやコリ対策

筋肉に溜まった疲労物質が流れやすくなるため、肩や腰、関節など痛みの緩和に効果が期待できます。また、温熱刺激は、痛みを脳に伝える神経よりも速いスピードで脳へ伝達されます。結果として痛みの信号を脳の手前で遮断するため、痛みを感じにくくなる効果もあるといわれています。


お灸の温熱刺激の強さ比較表(参考)

台座灸は商品ごとに温熱強度が設定されているので、下記は参考としてご確認ください。

強度 用途 注意
低温(ソフト) はじめての方
高齢者
熱に敏感な方
物足りなさを感じる患者さまも
中温(レギュラー) 一般的な施術
何度か施術している方
当日の体調や発汗状態によって
熱さを強く感じることもある
高温(ハード) 刺激的な温感を
求める方
皮膚が弱い方や低温やけどに
十分注意して使用する

お灸に関するよくある質問(FAQ)

先生方からお灸の使用に関して寄せられる疑問と解説をまとめました。

Q1.煙が少ないお灸はどれですか?

A.スモークレスタイプがございます。ダイヤ工業でお取り扱いがあるお灸では下記がございます。
長生灸Non-smoke(レギュラー):長生灸の煙が出ないタイプ(ソフトもございます)
長生灸お灸日和:煙の少ない線香を使用
柔(やわら)スモークレス:煙の出にくいヨモギ100%の炭化もぐさ
カマヤミニ スモークレス:煙とにおいを抑えたタイプ
富士柔®100スモークレス:富士柔シリーズスモークレスタイプ
せんねん灸 奇跡(レギュラー):せんねん灸オフシリーズに比べ煙が少ないタイプ(ソフト/ハードもございます)

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Q2.お灸を据えた直後に、入浴しても大丈夫ですか?

A.お灸の直後(前後1時間程度)の入浴は避けていただくようご指導ください。
お灸直後は皮膚の感受性が高まっているため、お風呂の熱さで火傷(水疱)を引き起こしやすくなります。また、入浴によって血液循環が過剰に促進されると、お灸による神経鎮静効果が減弱したり、逆にのぼせやすくなったりする場合があります。

Q3.初めてお灸をする方におすすめのお灸はなんですか?

A.初めての患者さまには、温度が低いタイプを使用するのがおすすめです。
各商品によって温度は違いますが、低めの温度のお灸で様子を見ながら使用してみましょう。熱を感じにくい場合や、継続して来院し施術を受ける場合は、患者さまの体調をみながら温度を調節していくことがおすすめです。


まとめ

お灸は「院内での質の高い施術」に加え、お客さまが希望されるときには「自宅での持続的なセルフケア」として活用もできるツールです。
台座灸、紙管間接灸、棒灸、火を使わないお灸、直接灸それぞれの特性を正しく理解し、患者さま一人ひとりの状態や生活スタイルに寄り添ったお灸を選択することが、患者さま満足度や施術の付加価値を高めることにも繋がります。

たくさんお灸の種類があってわからない、お灸を試してみたい!など、気になることがあればお気軽にご相談ください。
先生のお力になれるよう全力でサポートさせていただきます。

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記事について

執筆者:ダイヤ工業 メディカル部門スタッフ

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